時は西暦2000年12月25日午後6時過ぎ、冬至そして降誕祭。
東京都千代田区御茶ノ水は三省堂近くのゲームセンターでのこと。
あるシューターのおはなし。
自分はわき目もふらずに、エスプレイドの筐体の前に座ります。
調子は最悪、3面ボスにすらたどり着けませんでした。
今日はダメだ、と思い家路につこうと立ち上がります。
すると、自分の名前が呼ばれました。
知り合いのWさんでした。
シューティングはプレイする人が少ないです。
真剣に攻略している人は一つの店で10人程度。
ひとつのゲームにつき2〜3人いれば多い方といったところでしょう。
だから、それなりに人と知り合うことが多いです。
何しろ、みんなかなりの頻度でやってきて顔を合わせていますから。
このWさんと自分は、ストライカーズ1945II、ガンバード2を同じ時期に取り組んでいました。
そのときに、知り合いになったのです。
Wさんと話したのは久しぶりでした。
シューティングの話題に花が咲きます。
彼はドラゴンブレイズに取り組んでいるそうで、プレイを見せてもらいました。
華麗なものです。
彩京のゲームは自分もそれなりに知っているので、彼のプレイの凄さがよく分かります。
見事な稼ぎパターン、高速弾をしっかり見切り、弾幕をかいくぐり、テクニカルを取っていきます。
うまい人のプレイは、見ていて楽しいものです。
久しぶりだったそうで、一周はならず。
しかし7面100万点超と、素晴らしい内容でした。
基本的に彩京のゲームはパターンゲームです。
だから、どれだけのプレイをこなしているかが重要となります。
(もちろん、パターンを実行するためには、高度の動体視力、集中力、弾避け能力が必要ですが)
そのことを彼に聞いてみると、3万以上は間違いなく使っているということでした。
昼食はメロンパン一個、しばらくはひたすらドラゴンブレイズのパターン作成だそうでした。
1回50円として、ゲームセンターで600回以上、見事です。
彼はコンシューマー機を持っていません。
ひたすら、アーケードで戦い続けます。
現在の目標は、筐体のベストレコード150万点を越えることだそうです。
(1999,ドラゴンブレイズと最近の彩京のゲームはハイスコア保存されます。)
現在、146万点、あと少しだといっていました。
見事な漢の姿です。
謙虚にして飽くなき向上心を持ち続ける。
ゲーマーたる者、彼のごとくありたい物です。
閑話休題。
シューティングについて。
Wさんのプレイするドラゴンブレイズを見て思ったこと、そして彼と話したこと。
このドラゴンブレイズとても高難度でした。
ガンバード2のパターン性と、ストライカーズ1999の敵の攻撃を合わせたようなゲームです。
(もっとも自分はこのゲームをプレイしていません、あくまで印象です。)
4ボスがガンバード2の5ボスぐらい。
6ボスが1999のラスボスぐらい。
敵の強さはこんなところでしょう。
自分の手がでるゲームとは思えませんでした。
彩京のホームページにはこうあります。
完成されたゲームシステムと魅力的な世界観がシューティング初心者からマニアまで幅広く楽しんで頂けます。
嘘。
間違いなく、初心者が遊べる代物ではありません。
Wさんともこのことを話しました。
彩京のシューティングは、間違いなく難度がどんどん上昇しています。
ゲームセンターでシューティングをする人には、2種類あります。
ひとつは真剣に攻略するひと。
もう一つは何となく遊んでみるひとたち。
前者はかなりのゲーマー。
後者は営業中のサラリーマンであり、何となくやってみようと思った人であり、2Pに興じる恋人達です(ほんとにいるんです)。
数的には後者が圧倒的に多いです。
ただ前者は一人あたり消費額が圧倒的に多いため、この両者が相まってゲームセンターのインカムを構成しています。
難度が上がると言うことは、後者を切り捨てていくということです。
そしてその分を、前者からの収入増で補います。
これまででさえ、かなりの収入を前者から得ていたにもかかわらず。
自分だって1945IIやガンバード2には何万も使っていますから。
今の彩京のやっていることは、間違いなくコレです。
自分とWさんは、この点で意見が一致しました。
Wさんは「むすかしい方がいいけどね。」と言っていましたが、自分はあの難度にはついていけません。
家庭用移植がない限り、いくらお金があっても足りません。
ネット上では、あたかも2周が当然のような記事ばかり見かけます。
しかしアーケードでシューティングをプレイする人間の中で、うまい人はほんの一握りです。
エスプレイドで4・5面で死んだり、1945IIでラスボスで死んだりとこんな人がほとんどです。
ここでさえ、それなりに情熱を持ってやり込んでいる(自分程度の)人間です。
かなり反射神経が良さそうな人でも、やり込んでいない人はここまでいくことはできません。
サルみたいにやっている自分でも、ドラゴンブレイズに手がでるとは正直思えません。
(まあそれでも、ガンバード2全キャラ一周したら手をつけますが。)
今の彩京の流れは、シューティングを好みかつある程度できる人間をも切り捨てていくものです。
この先、彩京はそしてシューティングはどうなっていくのでしょうか。
正直なところ、彩京が東亜プラン(注1)と同じ道をたどる可能性も十分にあるとおもいます。
ほとんどの人はついていけません。
そして、シューティングそのものが消滅してしまうのでしょうか。
もちろんこれは彩京だけが悪いわけではないでしょう。
社会の風潮は、コンシューマーRPGのような見かけ倒しの紙芝居のみをたたえます。
そしてゲームをプレイする人も変化しました。
ゲームという観点に限るなら、プレーヤーの能力は著しく低下しています。
したがって、努力の必要な真の意味でのゲームは市場において受け入れられません。
その中でシューティングは対象を既存のプレーヤーに絞るしかないのでしょう。
でも。
選択肢は、難度を上げること、だけではないはずです。
グラディウスや怒首領蜂のような画期的なアイディアで、多くの新規プレーヤーを取り込む事だって可能でしょう。
もっともこれは極めて難しいことなのでしょうね。
できるものなら彩京はとっくにやっていますよね。
しかし、なんとかしないとシューティングの未来は暗いものとなるでしょう。
まちがいなく。
彩京の鎮魂の歌なんて、聞きたくありません。
注1
東亜プラン
現在のシューティングゲームの基礎を作った会社であり、80年代を代表するシューティングメーカー。
94年に倒産。
その理由はいろいろでしょうが、難度が極めて高かったというのも一因でしょう。
後記
この文章に対して、ROU様から感想を頂きました。
お便り紹介に収録されていますので、ご参照ください。