ゲームの脚本で思うこと


自分はゲームのストーリーに関しては極めて寛容です。
その理由を端的に述べてしまうと、全く期待していないからです。
ゲームというどうしても単純作業の不可欠でかつ設定が不可解でなくてはならないものは、高尚な物語と相容れないものだと思います。

たとえばRPGだったら何故弱い敵から順にでてくるのでしょうか。
幹部クラスの敵を序盤においておけば敵さんとしては十分です。
戦力を小出しにするという帝国陸軍のような誤りを犯しています。
でもだからといっていきなりラスボスがでてきたらゲームになりませんよね。(関連事項を注1に)
シューティングに至っては自機の動きは物理法則を完全に無視していますし、無限に弾を撃てるというのも不可能ですね。
それにボスなどのように巨大な敵を出すというのも、あたり判定が大きくなるだけという意味で合理的ではありません。

あのゲームはストーリーがいいとか、だめだとかよく言われています。
しかし、良いというゲームでもストーリーってなんだか安っぽいと思いませんか。
でもいいんです。
昔からゲームってストーリーは破綻していると思います。
「ファイナルファンタジー7」、自分はストーリーに関しては不満はありませんでした。
セトラとか十分に思いをはせてしまう単語でしたし、セフィロスとかアースストリームとか、その本ネタを知っている人間にとっては「ああ、あれね」という感じの楽しみかたができて良かったと思います。
(でもクラウドの設定だけはちょっと疑問に思いました。僕はあれは綾波レイのように作り物にすぎない存在が、人間たろうとしてあがいているんだと信じていたので)

かといって、ストーリーを重視すると今度はゲーム性を犠牲にしなくてはいけなくなります。

「デザイア」(98、ウインドウズ、サターン)というソフトがありました。
このソフトのエンディングを見たとき、僕は泣きそうになったし、1週間ぐらいはフィーナ(このソフトの鍵となる人物です)のことばかり考えていたんです。
間違いなく僕の触れたソフトの中では最高のストーリーを持っていたと思います。
でもこの作品、ゲームではありませんでした。
マルチサイトADVと説明書には書いてありますが、内容は単に選択肢を全て選ぶだけの単純作業です。
絵付きの小説、こんな感じでした。
コストパフォーマンスが極めて低いような気がするのですが。
僕はこれを1980円で買ったからいいのですが、定価(6800か7800円だと思います)で買った人はなんと思うのでしょうか。
プレイ時間はおそらく10〜20時間ぐらいでしょう。
まっとうなアクションならクリアまでに100時間はゆうに越えると思います。
これもアーケードで1回50円のシューティングを10〜15分、これを2〜3回というみみっちい遊び方をしている人間の感想です。

「映画的」なゲームというものが最近評価されるそうです。
自分は大いに疑問です。一体このようなことをいう人たちというのはどのような映画を思い描いているのでしょうか。
まあ、もちろんハリウッドなのでしょうが。
ハリウッド、あんな思想的価値ゼロの暴力とセックスに満ちあふれたものを映画といっては映画に失礼だと思います(映画に関しては注2)。
岩波ホールで上映されている作品のように高い思想的価値と主題を持ったもののみが映画の名に値すると自分は思うのですが。
これも教育テレビとNHKしか見ない人間の偏見かもしれません。

やはり、ゲームにストーリーを期待するのは間違いなのではないでしょうか。
「本を読みましょうよ。」と僕は思います。
推理小説ならその見事な論理の流れを楽しむことができるし、新書なら知識をいくらでも得られます。(自分はだめ人間なので岩波とか中公とか新書ものばかり読んじゃうんですよね。)
情緒と人の心の機微を味わえる小説も沢山ありますし、冒険の楽しみを味わうこともできます。
ファンタジーも小説から始まりました。(ファンタジーに関しては注3です)

ということで、最近はストーリーのないゲームが実は一番なのではないかと思う自分です。
ゲームはその内容の厳しさにおいて物語を語ることができますから。
風来のシレン、このゲームの最強の呪文は「ハラヘリー」という文字通り腹を減らせる呪文です。
ウイザードリー、ラスボスのはずのワードナーは何度でも復活します。
シューティング、後からとってつけたような素敵なストーリーがついてきます。(シューティングのいかすストーリーを注4で紹介します)


ストーリー、それは己のみの力で切り開き、作り上げてゆくものです。
決して無理矢理見せつけられるものではありません。



注1
ロールプレイングでは、低レベルアタックという楽しみ方が存在します。
だから、いきなりラスボスがでてきたら、燃える人はいるでしょう。
FF5,なんとレベルが7,4,2,1でネオエクスデス(ラスボス)に勝てるそうです。
自分は全員11でバハムートに勝つところまでやったことがあります。(でもエミュレーターでです)
ドラクエ6、これも全員のレベルが一桁でモンスターを使うことなくダークドレアム(裏面のボス)に勝てるそうです。
極めて熱い世界なので興味のある方は検索してみてください。

注2
映画に関して
ハリウッドの映画があれだけ思想的に無価値なのはなのは、ヒスパニックなどの国内の英語を解さない人にも分かるようにしてあるからです。(もちろんハリウッドにも少数ですが素晴らしい映画はあります)
個人的にはハリウッドはベンハーとか十戒あたりが最高でそれからは堕落の一途ですね。
最近「メリーに首ったけ」といういかす作品がありました。
自分は劇場、ビデオと二度見たのですが、俗語の勉強になるのでちょっと内容を抜粋です。
まず日本語字幕。
「おまえ裏切ったな」「違う、信じてくれ、そんなことはしていない」
実際に俳優がしゃべっているのは。
「You fuck me!」、「I don’t fuck you.」
以上でした。

注3
ファンタジーについて
トロールキンの「指輪物語」が起源なのでしょうが、ゲームとしては「ダンジョンズ&ドラゴンズ」というテーブルトークが最初なのではないでしょうか。
ファンタジー小説としては「ドラゴンランス戦記」(富士見書房、全六巻)が最高傑作だと思います。えふえふ等をほめている暇があったらこれを読みましょう。いかに人間は非力であり、ドラゴンの存在は圧倒的であるか。剣の弱さと魔法の強大さなど見事に書き込まれています。
最近の作品においては「ベルゼルク」が秀逸かと思います。圧倒的な力を持つ使途と逃れようのない運命の中で、それに翻弄されつつ抗い続けるガッツ。黙示録を読んでいるかのような気分になれます。見事の一言です。

注4
シューティングのストーリーに関して
自分の持っているゲームの秀逸なストーリーを紹介します。



戻ります。